日系ブラジル人殺人事件

01/08/06更新

第1 不当判決に抗議する(判決言い渡し後の記者会見要旨)

 平成13年8月2日、福井地裁は、無期懲役刑を言い渡した。しかしながら、この判決は、極めて不当な判決であり、強く抗議するものである。

 まず第一に、本判決は、証拠に基づくことなく、推測・可能性に基づいて、検察官も主張しなかったような動機をでっち上げ、さらには「本件Tシャツの下にシャツを着ていたら被告人の汗がTシャツに付着しなかったとしても不思議ではない」、「犯行現場付近のコンビニに自動車を駐車した可能性もある」等言い繕って有罪判決を下したものであり、刑事裁判の鉄則を忘れた不当な判決である。これは、司法制度改革審議会において、改革の対象とされた、職業裁判官のなせる典型的悪判決である。一般市民が本件を裁いていたならば、決してこのような推測・可能性に基づいた判決をしなかったであろう。検察官の方にだけ顔を向けた判決は、断じて許すことが出来ない。

 第二に、本判決は、凶器とされた本件サバイバルナイフは凶器ではないと認定し、具体的犯行態様も認定できないとしながら、被告人が犯人であることだけは確信できるとする不当な判決である。「どうやって殺害したかは分からないが、お前が犯人であることだけは確かである」などと、よく言えたものである。しかも、本判決は、証拠が不十分で犯行態様が明らかにできないから、その分を量刑に反映させて、死刑ではなく、罪一等減じて無期懲役刑を言い渡したというのであるが、自信を持って被告人が犯人であるというのであれば死刑を言い渡すべきであって、証拠がないというのであれば無罪を言い渡すべきであった。無期懲役刑を言い渡したこと自体が、被告人が証拠不十分により無罪とされるべきであったことを意味している。

 第三に、本件では、裁判所の本件Tシャツの管理が不十分であったために、十分なDNA 再鑑定ができなかった。ところが、裁判所は、そのことを何ら反省することなく、DNA再鑑定結果も有罪証拠に用いている。司法の廉潔性をかなぐり捨てた不当判決である。

第2 略年表

H9.4.21

AM1:55頃 被害者K・Mが福井市桃園のアパート

で殺害され、丸岡町山中に遺棄される
4.26 丸岡町山中でK・Mの死体発見
5.19 被告人自宅(Tアパート)・被告人会社捜索
6.3  被害者の軽乗用車が福井市丸山2丁目で発見される
6.16 被害者K・M殺害死体遺棄の容疑で被告人逮捕
7.7 殺人・死体遺棄で被告人を福井地方裁判所に起訴
H13.8.2 福井地方裁判所判決

第3 起訴事実

 被告人は、平成9年4月21日午前1時55分頃、福井市桃園所在のK方において、K・Mに対し、いずれも殺意をもって、両名の胸部及び背部等を、所携の刃物で多数回にわたり突き刺すなどし、よって、その頃両名を失血死させて殺害し、さらにその頃、両名の死体を同所から軽自動車のトランクに入れて運び出した上、丸岡町の山中にそれぞれ投棄し、死体を遺棄したものである。 

第4 本件の争点