飲む前に読むコーナー 

 人類と歩んできたアルコール飲料ですが、危険とも隣り合わせしています。あなたにとってのアルコ−ル飲料は、楽しいお酒でしょうか、それともアルコ−ル依存症への飲み物なのでしょうか。今までの自己判断で正しいかどうか、今すぐこのコーナーを読んでから飲んで楽しむか判断して下さい。10項目を示してありますので、該当する項目があれば、その項目をクリックしてさらに詳しい理由を確かめてください。説明に納得できないようであれば、専門医の受診をお勧めいたします。
 どうも自分の飲み方が危ないと思ったら、このホームページにある【アルコール依存症とは】【アルコール依存症のチェック】を読んで、アルコ−ル依存症であるか調べてください。


飲むのは「あなたは危ないよ」の10項目

 1.医師からアルコール依存症と診断された方
 2.アルコールによる身体の病気で入院した方
 3.家族に隠れてアルコールを飲んでいる方
 4.睡眠薬のかわりにアルコールを飲んでいる方
 5.精神安定剤のかわりにアルコールを飲んでいる方
 6.家族にアルコール依存症がいる方
 7.休みに朝からアルコールを飲んでいる方
 8.胃を切除してから飲む量が増えた方
 9.両親を小さい頃に亡くし、最近アルコールの量が増えている方
10.飲んで社会的な問題を過去に起こした方



 この項目に当てはまらない方の中に、例えば「飲酒によって体を壊したり記憶が悪くなったりして、家族や医師から入院治療を勧められているが拒否している方」などは10項目に該当しませんが、このコーナーを飲む免罪符に利用しないで下さい。あくまで目安として下さい。大丈夫であった方は、アルコールの功罪を知った上で、飲酒ルールを守って楽しく飲みましょう。アルコールに対して、飲まれるのではなく、あなたが主体的に飲むものと思います。









































 医師からアルコール依存症と診断された方 



 アルコール依存症と診断された方は、飲んではいけない方です。何故ならば、アルコールを一杯でも口にすれば、時間の長短はありますが、結局は連続飲酒発作といわれるように、飲むことを自分でコントロールすることができず、飲み続けることになります。飲む前に一杯でやめようと考えていた事は、飲むことによって人が変わったように、飲むのに都合の良い考えになってしまいます。飲むのはあきらめて下さい。意志が働くとしても、飲む前までです。

 たった一口の酒  → 
 連続飲酒発作 
 コントロール不能 



























 アルコールによる身体の病気で入院した方 



 アルコールによって身体、例えば肝臓や膵臓が障害され、アルコール性慢性肝炎とか糖尿病などの病名で入院された方は、退院されても少なくとも検査値が正常なるまで飲まない方がよいでしょう。アルコール依存症と診断された方が、初回内科入院の時点で、77%の人がすでにアルコール依存症になっていたという報告があります。アルコールを飲んで内科の病院に入・退院を繰り返しているうちにアルコール依存症となるというより、内科の病院に入院した時点で高率にすでにアルコール依存症であるという可能性があります。ですから、検査値が正常になったから飲んでもよいというより、どうも飲まない方が得策のようです。
 2回、3回の入院歴をお持ちの方は、内科の医師や家族がアルコール専門治療施設で治療した方が良いという認識がなかっただけで、むしろアンラッキーだったと考えられた方が良いかと思います。そんなばかなと思う方は、アルコール専門医に自分の考えを述べられたらいかがでしょうか。

アルコール性肝障害で内科初回入院 → 
8割がアルコール依存症























 家族に隠れてアルコールを飲んでいる方 



 家族に隠れて飲酒するのは、自分の飲み方に問題があると自覚している証拠です。しかし、飲みたいと思う気持ちが強いために、結局隠れて飲むことになります。この飲み方は、アルコールに対する精神依存がある証拠にもなります。アルコールを飲んではいけない時に、禁酒できないようであれば、飲酒はやめた方が良いでしょう。
 しかし、逆は真ならずで、家族の前でどうどうと飲んでいるから精神依存がないのだという根拠には残念ながらなりません。

隠れ飲み → 
アルコールに対する精神依存























 睡眠薬のかわりにアルコールを飲んでいる方 



 アルコールという薬は、睡眠薬として、ほめられた薬物でありません。使用している内に効果がすぐに薄れてきたり、飲んでも最初に興奮したりしてなかなか催眠効果が得られなかったりします。よく一般医が、睡眠導入剤の服用より寝酒の方を勧めたりする事がありますが、間違っていると思います。睡眠剤の方が、アルコールよりも耐性ができにくい(慣れの現象が起こりにくい)し、安全性が高く、服用すれば速やかに催眠効果がでてきます。 睡眠薬のかわりにアルコールを使うことは、飲酒量が増加し、アルコール依存症への入門切符をいただいたようなものです。何も使用しないのが一番で、次が睡眠導入剤の使用、一番避けるべきがアルコールの使用とお考えください。
 実際に、大量飲酒のきっかけが「眠れなくてアルコールに頼ってしまった。」という方が多いので、お酒という睡眠薬の使用はアルコール依存症への第一歩となる可能性が高いと考えた方がよさそうです。

■アルコールの睡眠に対する影響(やや専門的)
@非日常的にアルコールを飲んだ場合
 入眠しやすくなり(入眠潜時の短縮)、深い睡眠が多くなり(stage3,4の出現の増大や全睡眠時間に占める割合の増大)、夢と深い関係のある REM睡眠は飲酒量によって異なりますが、多く飲むと抑制されます。
A日常的にアルコールを飲んでいる場合
 入眠しやすさは、同じアルコール飲酒量ではすぐに得られなくなります。同じような入眠促進効果をアルコールに期待する場合、飲む量を増加させなければなりません。一方、飲酒が習慣になっている場合、急に飲酒を中断しますと、離脱性不眠といわれる一過性の強い不眠が出現します。その強さは毎日飲んでいたアルコールの量に比例します。また、この時の睡眠は、REM睡眠が反跳的に増加し悪夢をみることが多いと言われています。そんな事情のため、不眠や悪夢を避けるために飲酒というパターンを繰り返すとアルコール依存症です。

























 精神安定剤のかわりにアルコールを飲んでいる方 



 現代はストレス社会と言われ、会社の帰りに同僚と上司の悪口を赤提灯で晴らしている風景は珍しくありません。この程度であれば、まず問題はないでしょう。ここでいう精神安定剤かわりに飲むというのは、一人で心の葛藤を忘れるためや寂しさを紛らわすのために飲む方法のことで、アルコールの香りや臭いや味などを楽しむとは無縁で、ただ酔っぱらって忘れてしまおうという方法です。心の葛藤解消に他の方法を考える努力は放棄され、ただただ飲んでというのですから、当然アルコールの量も多く必要です。そんな使い方をしている方は、アルコール依存症という病気が目の前にあるか、またはアルコール依存症になっている可能性があります。自己点検が必要と思われます。

アルコールは、ムードや香り、味、最後に喉越しの感覚を楽しむもの























 家族にアルコール依存症がいる方 



 アルコール依存症が伝搬するかについては、デンマークなどで調査され、遺伝的要素と環境的要素が検討されています。遺伝的に、2つの伝わり方があると言われていますが、難しいことは別としても、親がアルコール依存症であれば子供が遺伝的にアルコール依存症になりやすいのは事実のようです。一方、アルコール依存症の妻について、その親のアルコール依存症の有無を尋ねていますとこれが多く、4人に1人は認めます。この点は、妻はアルコール依存症にはなっていないが、夫がアルコール依存症になっているとも言えます。これは、遺伝でなくて親のコミニュケーションなどが娘を介して夫婦や家族に伝わりアルコール依存症が発生したのか、アルコール依存症になりやすい男性を結婚の相手として選択したとしか考えようがありません。
 家系にアルコール依存症のいる方は、飲酒には並々ならぬ注意が必要と思われます。





















 休みに朝からアルコールを飲んでいる方 



 休みは個人にとって、家族にとって大事な時間と思われます。仕事が忙しくて家族の顔を見たり話したりしていないと思える方は、休日は父親としての役割を果たすチャンスです。それは重々承知しながら、この時間を飲酒に使われているとしたら、アルコールに対する精神依存が生じている可能性が高いと思われます。休みに飲まずに過ごすのが苦痛であれば、専門医に相談するのが良いでしょう。























 胃を切除してから飲む量が増えた方 



 アルコール依存症の方の飲酒歴を聞いていますと、胃潰瘍などで胃切除した後、入院して飲めなかった分を取り戻すかのように今まで以上に飲酒が増える方や、今までと同じ量を飲んでいるのにかかわらず悪酔いや問題行為を起こす方が多いようです。これは、胃切除により、小腸でのアルコール吸収が早くなることと関係しているかもしれません。原因はともかくとして、胃切除後の飲酒量の増加は、アルコール依存症の危険サインであることを知っておく必要があると思います。























 両親が小さい頃に亡くなってアルコールの量が増えている方 



 愛情喪失体験した方は、ACになりやすい人たちです。さみしかったり、生きづらかったりして、アルコールに頼るとアルコール依存症の門が開いています。実際に、アルコ−ル依存症者は圧倒的にACでもあることが多いのです。
 アルコールに依存することなく生きていくためには、ACの仲間とのミーティングが解決の1つの方法でしょう。そんな場もありますよ。

ACは、アルコール依存症へのリスク・ファクター























 飲んで社会的な問題を過去に起こした方 



 アルコール飲酒によって、交通事故や社会で恥をかいたりしますと、普通はアルコールから遠ざかるのが一般的です。それにもかかわらず、あいかわらず飲酒行動をとっていれば、アルコールに対する精神依存がある可能性が高く、アルコール依存症になりやすいと言えるでしょう。何回も懲りなくて飲酒問題行動が続いていれば、もうすでにアルコール依存症かもしれません。自己点検が必要と思われます。