小さな谷川の底を写した、二枚の青い幻灯です。

「やっぱり、ぼくのあわは大きいね。」 「兄さん、わざと大きくはいてるんだい。ぼくだって、わざとならもっと大きくはけるよ。」 「はいてごらん。おや、たったそれきりだろう。いいかい、兄さんがはくから見ておいで。そら、ね、大きいだろう。」 「大きかないや、おんなじだい。」 「近くだから、自分のが大きく見えるんだよ。そんな らいっしょにはいてみよう。いいかい、そら。」 「やっぱりぼくのほう、大きいよ。」 「本当かい。じゃ、も一つはくよ。」 「だめだい、そんなにのび上がっては。」  また、お父さんのかにが出てきました。 「もうねろねろ。おそいぞ。あしたイサドへ連れていかんぞ。」 「お父さん、ぼくたちのあわ、どっち大きいの。」 「それは兄さんのほうだろう。」 「そうじゃないよ。ぼくのほう、大きいんだよ。」 弟のかには泣きそうになりました。

絵の工夫したところ

ぼかすところが、むずかしかった

賢治の思い

あわは、兄の方が大きいけど弟も大きいときもあるといいたかったと思う