小さな谷川の底を写した、二枚の青い幻灯です。

そのとき、トブン。

 黒い丸い大きなものが、天井から落ちてずうっとしずんで、また上へ上っていきました。きらきらっと黄金のぶちが光りました。 「かわせみだ。」 子供らのかには、首をすくめて言いました。  お父さんのかには、遠眼鏡のような両方の目をあらん限りのばして、よくよく見てから言いました。 「そうじゃない。あれはやまなしだ。流れていくぞ。 ついていってみよう。ああ、いいにおいだな。」  なるほど、そこらの月明かりの水の中は、やまなしのいいにおいでいっぱいでした。  三びきは、ぼかぼか流れていくやまなしの後を追いました。  その横歩きと、底の黒い三つのかげ法師が、合わせて六つ、おどるようにして、やまなしの円いかげを追いました。  間もなく、水はサラサラ鳴り、天井の波はいよいよ青いほのおを上げ、やまなしは横になって木の枝に引っかかって止まり、その上には、月光のにじがもかもか集まりました。

絵の工夫したところ

やまなしが落ちてきたとき水しぶきをいれた。

賢治の思い

やまなしが落ちているところをいいたかったのだろう