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「 白いシーツの夢から覚めて 」





それはシーツのようでした

真っ白にからみついているそれの中で

僕は僕を見つめながら

もう一人、必死にもがいていました

まだ少ししか眠っていないのに

これ以上は寝ていられない

もしかすると朝の光だったのかもしれないそれは

僕から数ミリのところで僕を締め上げています



自分が何故そうであるのかを知っている人は

その事実に負けさえしなければ無限に広がるのです

誰もが自分のルーツを追い求めるこの世界の中で

自分のパズルのピースを人より多く持つことは

喜びよりも苦しみを産み出すけれど

その苦しみにさえ微笑むならば

自分を探し求める代わりに

心を深くしてみんなの心の色が見えるのです



苦しんでいるように見える人も

苦しみなど知らないような人も

みんな何も変わりはしない

ただ誰もが同じように

自分の人生をその人として生きているだけ

そんな当たり前のことに気づいたとき

僕はカプセルから抜け出しました

半透明越しではない夜明けを

疑わないで見つめることができました

偉そうな人も、みすぼらしい人も

僕より少し背伸びしてるだけ

ホントはそんな風に悟り澄ましている僕も

ずいぶん背伸びしているなって思います

意地を張るのも強がるのも疲れたなら

いつかまた、背伸びしてると知っていることに耐えられなくなったら

みんなの幸せとひと続きの、人の中に生まれたことを思い出します


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