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「 この夏の僕の断片 」





雲を粒子に変えたなら

君は小鳥になるらしい

小鳥は矢のような情熱で

大きな鳥を撃つらしい

僕を推敲してみると

間違いだらけで消えてしまう

だから太陽で目を焼いてしまおう

鏡をいくら砕いてみても

破片の一つ一つが空を映してる



どんなに心を込めても

消えていくものばかりで

どんなに信じていても

裏切るものばかりで



信じるという正の循環

疑うという負の循環



不信のパラドックス

疑うことが自然科学や哲学の原動力

だけど徹底して疑う人々はみんな

不信を信じるという

パラドックスを内包している

疑うことを疑わないという

自己矛盾に支配されてる



夕風をいっぱい吸い込むと

少しだけ夜の匂いがした

夜の匂いは泣けてくる

こんなに楽しかった今日なのに

どうしようもなく泣けてくる



うるさい

そう言って捨ててしまった夢がひと欠け



心を言葉にしたくて

言葉に支配されたくないなら

言葉を口にするそのたび

名前を変えればいい

生活にはいつも

警報が鳴り響いている

いつのまに空っぽの缶ジュース

僕はまだ、飲んでいたのにな

淫らな人々のポーズの中に

胸を締め付けるような意味と価値が見える

大切に暖めているものがあると叫んでる

叫んでるのは、君や僕だけじゃなくて

誰もが抱きしめるように生きている

優しい気持ちになってしまうのを

恥ずかしがることなんかないよ


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