(05/10/17)

非常勤裁判官日誌


 東京時代に研究していた非常勤裁判官制度がようやく実現することになった。

 思えば長くて短い道のりだった。ことのきっかけは、平成2年開催の第13回日弁連司法シンポジウムの準備の過程で、法曹一元の前提として弁護士任官制度の検討をしていた際に、フルタイムでの裁判官任官ではなく、パートタイムでの任官ができればもっと多くの弁護士が裁判官になれるのではないかという単純な思いからだった。それを実現すべく、庭山英雄専修大学教授にターゲットをあて、教授のご協力を得ながら、イギリス調査も行った。最初は、弁護士会でも全く相手にされなかった。相手にされなかったどころか、ちょうどそのときから進められ始めた弁護士任官の足を引っ張ると言って反対もされた。それが、だんだん弁護士会での認知も得ることもでき、最高裁との調整が最後の壁として残されていた。

 私自身は、理論的研究だけをしてこの問題から離れていた(その詳細は別稿参照)が、この間、日弁連の強力な努力の甲斐があって、ようやく民事・家事調停における調停主任の職を非常勤裁判官に開放するということで、今回の制度化につながった。正式名称は、民事・家事調停官だ。初年度は本年1月から全国の大庁を中心に30人の非常勤裁判官が誕生する。


 私は、本年から、京都簡易裁判所で、毎週火曜日に執務することになった。木曜日に執務するのが中島調停官だ。私は、火曜日開廷の民事調停事件のうち、特定調停事件を除く事件であって、調停官が担当するにふさわしい事件を担当する。調停は、調停委員3人で構成する調停委員会が事件を取り扱うが、私はそのうちの1人であって、あと2人の一般調停委員とともに事件を担当する。これまでは、調停主任を務める裁判官が不足していることもあって、調停の場に調停主任が立ち会うのは調停成立または不成立の時だけであったが、弁護士調停主任である調停官は原則として常時立ち会い、法の本来予定している3人構成の調停委員会が実現することになる。

 週1回の執務でどの程度の仕事が出来るのか、また週1回しか開廷されないのでかえって事件の進行、期日の調整に支障が生じるのではないかという不安もあるが、調停官の係に配点してほしいという意見が申立人からも相手方からも出されるようになることを願っている。

1.非常勤裁判官日誌T(04/1/25)

2.非常勤裁判官日誌U(04/3/13)

3.非常勤裁判官日誌V(04/3/13)

4.非常勤裁判官日誌W(04/6/13)

5.非常勤裁判官日誌X(04/6/13)

6.非常勤裁判官日誌[−近弁連大会にて(05/1/3)

7.非常勤裁判官日誌\−1年を振り返る(05/1/3)


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