雑記帖 - 旅日記

No.13
2005秋~滋賀・京都 後編

夕食は、凸さん推薦のイタリアレストラン「カノビアーノ」さん。有機の京野菜をふんだんに使ったイタリアンは、優しい味付け。和の雰囲気も取り入れつつ、器はこれぞイタリアンとオシャレ。従業員の若者達がきびきび活きがよくてスタイルも良く背筋が伸びている。歩き方が美しい。見ていて実に気持ちがいい。従って、食べていても美味しさがいや増す宵でした。

町家での発見は衝撃的でした。高気密高断熱が声高に叫ばれる昨今ですが、町家の仕切りは障子が一枚きり。ほんまもんの和紙は寒さも暑さも和らげてくれるよう。さすがに蝋燭ではないけれど、行灯の和紙を通す明かりは気持ちを和らげてくれ、控えめでいてちょっと秘密めいた奥ゆかしさがあります。もっぱら花より団子の旅とはいえ、ちょうど中秋の名月。月明かりの優しさがなんともいえません。これこそ日本の風流どすなぁ~と俳句のひとつも浮かべばいいのですが、みんなは今しがた食べたイタリアレストランのご馳走が喉まで一杯で、お腹も瞼も重い。

翌朝、障子を通して聞こえる鳥の声は柔らかく、自然の目覚まし時計。小さな庭にも露結びがあると水を求めて鳥がやってくる。庭の風景を引き締めてくれる袖垣、寄りつきの空間に自然を感じさせたてくれる垂撥のホトトギスやオミナエシ。銅で作られた樋にも細かな細工が施され、昔人の粋なおしゃれ心に、ただただ感心・脱帽。大切に使われている町家のお風呂も、日頃の手入れの大変さが分かるだけに、気持ちがほどけてゆくのでした。

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おっ洒落~なレストランで
(「カノビアーノ」にて / 2006-10-06 / ぽこ)
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懐石風イタリアンでした
(「カノビアーノ」にて / 2006-10-06 / ぽこ)

最終日、朝は「たん熊」さんで朝粥朝食。みんなでそぞろ歩きしながら向かいます。京都の町並みは表通りを一筋入ると面白い。昔からの家並みを大切に守り、向こう三軒両隣肩寄せ合い、通りをゆく人を思いやった前庭や、勝手口の木戸にもオシャレな格子模様が細工されていたりします。老舗では目先の利益に捕らわれず「三方良し」と言われる商いで京の繁栄を守り続けてきたといわれていますが、京都人の生き方は住まいや町並みにも表れています。

腹ごなしに、再びそぞろ歩きしながら四条烏丸の映画館「京都シネマ」へ。ぺこぽこ映倫推薦映画「ナビィの唄」をみるんさぁ~。所長トさんは復習、予習、調査・努力が大好きなので所員一同も右ならえ!で昨年の事務所旅行沖縄の復習版を楽しむことに…。石垣生まれのナミィあばぁは、小さい頃に250円で売られ、厳しく仕込まれた三味線を手に唄者を続け、御トシ86歳。「人は皆それぞれ頭にカミを乗せた尊い存在。カミは歌が好き。頭の上のカミが喜べば人も喜ぶ。皆様が喜べば、その喜びの力で私はもっと長生きになる」唄うことで人を喜ばせるナミィの人生は「命がけなんさぁ~」とお腹のそこから響いてくる声。少なくとも「百はたち」まで生きるつもりのナミイおばぁにしっかり元気を貰ったんさぁ~。

お昼は、近場で軽いものをと、蕎麦「味禅」さんへ。しかし、またもやしっかり蕎麦定食を頼んでしまうのですた。もうひと作品と劇場に戻るぽこさんと京の街歩きに出かけるまささんと別れ、次に出かけたのが凸さんご用達の「MORIKAGE SHIRT」さん。働きやすいようにとスタッフのみなでシャツを誂える。さらに東山に程近いマンションの一室へ。ビルゲイツも真っ青という衝撃のスピーカー、タイムドメインの聞き酒ならぬ聞き耳に出かけたのです。

じぃじとばぁばは、最後に一目と、たまちゃんの待つ医院へ駆けつけます。背中までぐっしょりぬれながら、ひたすら眠っているたまちゃんは、はたして大物なのか鈍感なだけなのか?いずれにせよ、どれだけみていてもあきない寝顔。帰りの車中では「紫野和久傳」さんのお弁当に舌鼓。それぞれが好みのお弁当を注文しておいたのですからおいしさも格別。ぺこは、お腹がふくれるとそのまま夢の国へ。強風と事故で2時間も遅れていることも知らずひたすら眠りこけておりましたとさ。

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車中のお弁当で、まんぷくツアーの〆
(2006-10-07 / ぽこ)

文 ぺこ 編 ぽこ

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